學長、帝塚山大學

2021年11月04日

第21回 大學院心理科學研究科  ~交通心理學を支える機器?機材の數々~

今回は大學院心理科學研究科を取り上げます。紹介する研究分野は「交通心理學」を選びました。交通心理學の研究調査では多種多様な機器?機材が用いられるので、その一端をご紹介しようと思います。専門アドバイザーは、筆者(蓮花)が擔當します。また、心理學部で産業心理?交通心理學を専門とされている森泉慎吾講師(産業?交通心理學)とゼミナール學生たちの協力も得ました。
臨床心理學や発達心理學と比べて、「交通心理學」というのは、何をする學問なのか、學生の皆さんにとっても疑問に感じるでしょう。一般社會の方々にとっても馴染みのない分野ですので、少し説明しましょう
心理學を大別すると、人間行動や心理のメカニズムを理解しようとする「基礎心理學」と、現実場面での人間が関わる社會的課題の解決を図る「応用心理學」に區別されます。そして、応用心理學の中でも、人間社會の問題に応じて、個人のメンタルヘルスや悩みに関しては「臨床心理學」、産業社會の労働災害や消費者行動については「産業心理學」、環境問題では「環境心理學」のように分かれていきます。「交通心理學」は、人間の移動に伴う問題、とくに事故防止や生活の質の確保などを扱う分野として発達してきました。ただし、私個人は、長く研究を続けてきて、「交通心理學」には、交通行動のメカニズムを理解しようとする基礎心理的な側面と交通事故を防止するための応用心理的な側面の両面があると考えています。
帝塚山大學大學院心理科學研究科の交通心理學研究室では、子ども(園児や児童)の歩行行動から高齢ドライバーの運転行動調査まで幅広いテーマで研究を続けています。交通行動は道路上で発生するため、大學の中にいてもよく分かりませんので、筆者(蓮花)も各地のフィールドに出かけて、道路上の観察調査をよく実施してきました。
図1に示すように、ビデオカメラは観察調査には不可欠な機材です。その記録方式も、1975(昭和50)年に発売が開始されたベータ方式(ソニー)や1976(昭和51)年発売開始のVHS方式(日本ビクター、松下電器産業(現パナソニック))からハイエイト方式(ソニー)、S-VHS方式(松下電器産業)、ハイビジョン、そして4Kのように進化してきました。記録媒體も、初期のビデオテープからSDカードやハードディスクのように、様々なものがアナログからデジタルへと時代と共に大きく変化しました。
初期のビデオカメラは大型で持ち運びが大変でしたが、1985(昭和60)年にソニーが現在のビデオカメラの先駆けとなった片手で持てるハンディカムを発売し小型化が実現しました。意外に大変なのは、ビデオデッキやバッテリー、充電器、接続コード類も、カメラの種類に応じて異なるので、各種揃えなければならないことです。最近は映像記録も編集もコンピュータ上でできるので便利になりました。
研究室では、最近20年間にわたり、高齢ドライバー研究を継続して実施しています。全國各地の調査では、當地の教習所の協力を得て、高齢者に教習所までお越し頂いて質問紙調査や運転行動調査を実施しました(図2)。これまで、北海道から九州まで延べ10數カ所の道府県で調査を進めてきました。調査に參加した學生たちをはじめ、現地の教習所関係者や高齢者の方々との交流は筆者(蓮花)にとっても素晴らしい思い出となっています。
教習車を用いての調査では、ドライブレコーダやジャイロセンサなどの、特殊な測定機器を用います。図3には、最近実施した高知県での調査で用いたドライブレコーダを紹介します。一般で市販されているものよりも、運転行動に関する情報が豊富で、前後や室內の映像と共に、地図上での走行記録や速度、合図、ブレーキなどがハードディスクに記録されます。こうしたドライブレコーダ14臺を用いて、高齢者の教習所走行コースや一般道路での運転を分析しました。
また、ドライバーが交差點などで安全確認を行うために頭を左右に動かし、また足でブレーキやアクセルペダルを操作しますが、これを測定するのが、動きを検出するジャイロセンサを活用したObjet((株)ATR-Sensetec)と呼ばれる裝置です(図4)。高齢者の中には交差點での安全確認が十分ではない人が多いことも、研究から分かってきました。
外に出かけて調査するだけではなく、大學の研究室でも実験などを行います。図5はアビテックス(YAMAHA製)という簡易型実験室です。本來は自宅でピアノ練習をするために室內に設置する小部屋ですが、私たちの研究室では実験用に用いています。一定の防音効果があり、エアコンも設置され、AV機器も揃えているので、學生による各種の実験にも使用されています。
皆さんはアイカメラという裝置をご存じですか。人間の中心視と呼ばれる視野の中心點を記録する裝置です。人間は何かを見るときに、視線をその対象に向けるので、この注視點を記録することで、ドライバーが何に注意しているのかが分かります。研究室には、図6に示すようなアイカメラ((株)ナックイメージテクノロジー)があります。車両前方の交通狀況の映像をモニターに提示してドライバーの視線を計測?分析すると、そのドライバーが道路上の危険源(ハザードと言います)をどの程度理解しているかが評価できます。
最近は非接觸式視線計測のできるアイトラッカーも登場しており、心理科學研究科でも所有しています。こうしたアイカメラやアイトラッカーを用いて、研究科の他の研究室でも、様々な注意1)の研究が期待できます。例えば、対面で誰かと話している時にどこを見るか、広告の寫真で何に注目するか、などがテーマとして浮かびます。
交通心理學に限らず、心理學研究では、様々な機器?機材や道具を用いて研究を進めています。しかし、その多くは一般の人々にほとんど知られていません。講義や実習で興味を持った研究があれば、學生の皆さんも積極的に先生方の研究室を訪れて、機器?機材を用いた研究について、教員に質問されることをお薦めします。
1) 注意とは「意識の狀態の一つで、この狀態では感覚が環境の諸側面に対して反応しやすい狀態になる」(APA心理學大辭典,2013)ことを意味します。つまり、人間はすべての物事に注意を向ける能力を持っていないため、物事を選択的に把握しようとします。生存や生活にとって重要な対象や刺激量が大きい対象が選択されやすくなります。この心の働きが「注意」です。
參考文獻
? G.R.ファンデンボス監修,繁枡算男?四本裕子監訳 2013 『APA心理學大辭典』,培風館
? 蓮花一己?向井希宏 2017 『交通心理學』,放送大學教育振興會
? 蓮花一己編著 2000 『交通行動の社會心理學』,北大路書房

今回は大學院心理科學研究科を取り上げます。紹介する研究分野は「交通心理學」を選びました。交通心理學の研究調査では多種多様な機器?機材が用いられるので、その一端をご紹介しようと思います。専門アドバイザーは、筆者(蓮花)が擔當します。また、心理學部で産業心理?交通心理學を専門とされている森泉慎吾講師(産業?交通心理學)とゼミナール學生たちの協力も得ました。

臨床心理學や発達心理學と比べて、「交通心理學」というのは、何をする學問なのか、學生の皆さんにとっても疑問に感じるでしょう。一般社會の方々にとっても馴染みのない分野ですので、少し説明しましょう

心理學を大別すると、人間行動や心理のメカニズムを理解しようとする「基礎心理學」と、現実場面での人間が関わる社會的課題の解決を図る「応用心理學」に區別されます。そして、応用心理學の中でも、人間社會の問題に応じて、個人のメンタルヘルスや悩みに関しては「臨床心理學」、産業社會の労働災害や消費者行動については「産業心理學」、環境問題では「環境心理學」のように分かれていきます。「交通心理學」は、人間の移動に伴う問題、とくに事故防止や生活の質の確保などを扱う分野として発達してきました。ただし、私個人は、長く研究を続けてきて、「交通心理學」には、交通行動のメカニズムを理解しようとする基礎心理的な側面と交通事故を防止するための応用心理的な側面の両面があると考えています。

帝塚山大學大學院心理科學研究科の交通心理學研究室では、子ども(園児や児童)の歩行行動から高齢ドライバーの運転行動調査まで幅広いテーマで研究を続けています。交通行動は道路上で発生するため、大學の中にいてもよく分かりませんので、筆者(蓮花)も各地のフィールドに出かけて、道路上の観察調査をよく実施してきました。

図1に示すように、ビデオカメラは観察調査には不可欠な機材です。その記録方式も、1975(昭和50)年に発売が開始されたベータ方式(ソニー)や1976(昭和51)年発売開始のVHS方式(日本ビクター、松下電器産業(現パナソニック))からハイエイト方式(ソニー)、S-VHS方式(松下電器産業)、ハイビジョン、そして4Kのように進化してきました。記録媒體も、初期のビデオテープからSDカードやハードディスクのように、様々なものがアナログからデジタルへと時代と共に大きく変化しました。

初期のビデオカメラは大型で持ち運びが大変でしたが、1985(昭和60)年にソニーが現在のビデオカメラの先駆けとなった片手で持てるハンディカムを発売し小型化が実現しました。意外に大変なのは、ビデオデッキやバッテリー、充電器、接続コード類も、カメラの種類に応じて異なるので、各種揃えなければならないことです。最近は映像記録も編集もコンピュータ上でできるので便利になりました。

研究室では、最近20年間にわたり、高齢ドライバー研究を継続して実施しています。全國各地の調査では、當地の教習所の協力を得て、高齢者に教習所までお越し頂いて質問紙調査や運転行動調査を実施しました(図2)。これまで、北海道から九州まで延べ10數カ所の道府県で調査を進めてきました。調査に參加した學生たちをはじめ、現地の教習所関係者や高齢者の方々との交流は筆者(蓮花)にとっても素晴らしい思い出となっています。

教習車を用いての調査では、ドライブレコーダやジャイロセンサなどの、特殊な測定機器を用います。図3には、最近実施した高知県での調査で用いたドライブレコーダを紹介します。一般で市販されているものよりも、運転行動に関する情報が豊富で、前後や室內の映像と共に、地図上での走行記録や速度、合図、ブレーキなどがハードディスクに記録されます。こうしたドライブレコーダ14臺を用いて、高齢者の教習所走行コースや一般道路での運転を分析しました。

また、ドライバーが交差點などで安全確認を行うために頭を左右に動かし、また足でブレーキやアクセルペダルを操作しますが、これを測定するのが、動きを検出するジャイロセンサを活用したObjet((株)ATR-Sensetec)と呼ばれる裝置です(図4)。高齢者の中には交差點での安全確認が十分ではない人が多いことも、研究から分かってきました。

外に出かけて調査するだけではなく、大學の研究室でも実験などを行います。図5はアビテックス(YAMAHA製)という簡易型実験室です。本來は自宅でピアノ練習をするために室內に設置する小部屋ですが、私たちの研究室では実験用に用いています。一定の防音効果があり、エアコンも設置され、AV機器も揃えているので、學生による各種の実験にも使用されています。

皆さんはアイカメラという裝置をご存じですか。人間の中心視と呼ばれる視野の中心點を記録する裝置です。人間は何かを見るときに、視線をその対象に向けるので、この注視點を記録することで、ドライバーが何に注意しているのかが分かります。研究室には、図6に示すようなアイカメラ((株)ナックイメージテクノロジー)があります。車両前方の交通狀況の映像をモニターに提示してドライバーの視線を計測?分析すると、そのドライバーが道路上の危険源(ハザードと言います)をどの程度理解しているかが評価できます。

最近は非接觸式視線計測のできるアイトラッカーも登場しており、心理科學研究科でも所有しています。こうしたアイカメラやアイトラッカーを用いて、研究科の他の研究室でも、様々な注意※1)の研究が期待できます。例えば、対面で誰かと話している時にどこを見るか、広告の寫真で何に注目するか、などがテーマとして浮かびます。

交通心理學に限らず、心理學研究では、様々な機器?機材や道具を用いて研究を進めています。しかし、その多くは一般の人々にほとんど知られていません。講義や実習で興味を持った研究があれば、學生の皆さんも積極的に先生方の研究室を訪れて、機器?機材を用いた研究について、教員に質問されることをお薦めします。

※1)注意とは「意識の狀態の一つで、この狀態では感覚が環境の諸側面に対して反応しやすい狀態になる」(APA心理學大辭典,2013)ことを意味します。つまり、人間はすべての物事に注意を向ける能力を持っていないため、物事を選択的に把握しようとします。生存や生活にとって重要な対象や刺激量が大きい対象が選択されやすくなります。この心の働きが「注意」です。

參考文獻
? G.R.ファンデンボス監修,繁枡算男?四本裕子監訳 2013 『APA心理學大辭典』,培風館
? 蓮花一己?向井希宏 2017 『交通心理學』,放送大學教育振興會
? 蓮花一己編著 2000 『交通行動の社會心理學』,北大路書房

 

図1 観察調査用ビデオカメラとバッテリー類の數々 (上:観察用の様々なビデオカメラ(Sony製))(下:ビデオカメラ毎に異なるバッテリーや充電器の數々)(2021年10月撮影)

図2 高齢ドライバー調査の様子(上:教習所室內での危険予測の調査風景)(下:教習所走行コースでの運転行動調査)(2019年11月撮影)

図3 運転行動記録用のドライブレコーダ(上:本體とカメラ、接続コード)(2021年10月撮影)(下:ドライブレコーダの記録畫像)

図4 ジャイロセンサを用いた測定裝置(Objet)での運転行動測定(上:ジャイロセンサを用いた測定裝置)(2021年10月撮影)(下:ジャイロセンサによる安全確認の分析:交差點左折時の 時間経過(左から右)に伴う指導員の左右確認の例)

図5 簡易型防音室アビテックスと実験の様子(2021年10月撮影)

図6 視線計測に用いられるアイカメラとアイトラッカー(上:運転行動場面で用いられるNAC製アイカメラ)(2021年10月撮影)(下:室內での注意研究で用いられる非接觸タイプのアイ トラッカー(竹井機器製))(2020年3月撮影)
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